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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

「やるなぁ、やっぱり女の子の方が賢いのかねぇ」


「いや、この状況で、あの発想は脱帽っすわ。うまいこと、精霊使うわ」


 勇樹と球也は、奈美に対して尊敬の眼差しで見つめていた。


「ありがとう、助かったよ」と奈美は樹木の精霊を手のひらにのせた。


 疲れたのか、精霊は石に変わった。パワーが無くなれば石に戻るのが、この世界の精霊の特徴だ。


 これで、いまは使える精霊はいない。後は、自分の力だけが頼りとなる。


 そして三人は、枯れ葉で足を滑らせないように、一歩一歩、精霊の大地にむけて足を進めた。


 太陽はサンサンと、三人を照らす。


 水は無い。


 せめて直接、日が当たらないように服を頭から被って、帽子代わりにするしかなかった。


 奈美は布袋を被る。だが、暑さだけはどうにもならない。


 勇樹は、一番後ろで、ただイライラしていた。


「くそ……まだかよ、精霊の大地ってのはよ……おい、まだ着かないのかっ!!」


 勇樹の前にいる球也は、ただビビりまくっていた。


「さ……佐田さん、お願いですから、僕を蹴らないでくださいね……」


 関西弁も忘れてしまう。



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