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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 奈美は、意識がもうろうとしていた。


 時々、自分の汗を口につける。


 わずかながらの、塩分と水分補給。


 もちろん、そんなものでは満たされるわけがない。


 本当にこの先に精霊の大地があるのか?


 いや、精霊の大地でなくとも、なにかしらのゴールがあるのだろうか?


 それが心配だった。


 ただ、ひたすら、歩く。


 歩く。


 歩く。


 ゴールはまだ遠い。だが……樹木の精霊が出現させた枯れ葉は、別のゴールを迎えていた。


「うそ……」


 奈美は思わず、そう呟いた。


 枯れ葉が無くなった。


 その先は、また透明の空間が広がっていた。


「どうしよう……」


 後戻りは出来ない。


 精霊も、まだパワーは取り戻していない。


 空には太陽が輝いている。水も手に入らない。


「おい、どうすんだよ奈美!」


 後ろから勇樹の怒声が響く。


 奈美はビクッとして、黙りこんでしまった。


「お前についてきたんだ。この先、どうするのか、考えてんだろうなぁ、おぉっ!!」


 勇樹は暑さと、喉の渇きで、イライラが頂点にきていた。



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