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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 勇樹の表情が変わった。


 怒りがこみ上げてきているようだ。


 こんな表情は、初めて見た。


 勇樹はゆっくりと歩み寄ると、顔をスレスレまでに近付けた。


「おい、関西の坊や。口をきく相手を選んで言ってるのか?」と太く、低い声で凄みをきかせた。


 球也はすぐに顔をそむけた。


 勇樹はニヤリと笑った。


「ビビって目をそらすなら、はじめったら口のききかたに気をつけろ」


 球也は苦い表情だった。


 実際は『ぶふゎっ!! ちょ……口臭いっ!! そんな、近くで言わんでよ……』と思っていた。


 横を向いて、綺麗な空気を体内に取り込むと、一歩下がって、勇樹の顔を見た。


「ケンカするつもりはないです。力では、格闘家の佐田さんに比べたら、僕が余裕で負けるのわかってますし……ただ、もめんと、話し合いで……」


「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえっ!! お前、ここから落とすぞ!!」


 そう言って、勇樹は球也のアゴを押し上げるように手をかけた。


「あうぅ……やめてください……」


 勇樹の腕力が球也のアゴを締め付ける。


「ガキが生意気に意見ぶっこんでんじゃねぇっ!!」




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