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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 球也を橋から落としそうな勢いで、押し込む。


「佐田さん……落ち着いて下さい……」


 球也は首もとにあてられた、勇樹の手を掴んで言った。


 ものすごい力だった。


 球也も高校球児として、毎日トレーニングはしていたが、プロの格闘家の勇樹と比べたら、雲泥の差だった。


「言っておくが、お前の指図を受けるつもりはねえ。許してほしかったら、俺に生意気な意見するんじゃねぇぞ」


「だからって、弱い者に手を出すことないじゃないですかぁ……」


「お前、本当に落とされたいらしいな」


 勇樹はそう言うと、刀を一本抜いた。


「いいか、これでそのツルを切ったら、落ちても助からない」


 球也の腰に巻かれているツルに、刀の刃を当てた。


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、マジで!? あのコウヤさんは、弱い人に手を出さなかったっすよ!!」


「あいつの名前を出すんじゃねぇ!」


 アゴを掴む手に力が入る。


「痛い痛い痛い痛い!!」


 この痛みは、まるで万力で締め付けられているくらいに思えた。


 その時だった。


「手をはなせ!!」



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