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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 奈美は歯を食いしばって、剣を振り下ろした。


「くっ!!」


 落ちる。勇樹は目を閉じた。


 終わった。


 そう思った。


 急に体が軽くなった。


 今、自分は落ちているから、軽く感じているのか?


 ほんの少しのイタズラが、奈美の心に傷を植え付けた。 


 だから、こんな目にあった。


 勇樹は心より懺悔した。


「頑張って」


 奈美の声が聴こえた。


 いまさらいいよ……俺は後、数秒で気を失って、地面に叩きつけられて、落ちたトマトのようにグチャグチャになって死ぬんだ。


 生々しいから想像するのはやめよう。


「さ、佐田さん……が、頑張って……」


 今度は球也の声だ。


 こいつに関しては、なんにも思い入れがない。さほど、絡んでないからな。


 やたら滞空時間が長くね?


 気が確かな状態で地面激突は嫌だ。


 だが、なにかおかしい。


 勇樹は上を向いて、目を開けた。


 奈美の顔が見えた。


 その小さくて細い腕を必死にのばしている。


「早く、掴まって!」


 心配そうに覗きこむ優しい顔。


 奈美が自分に、そんな顔を見せるわけがない。



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