テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

「ついにこれまでか……奈美、お前のその顔は、年貢のみやげに……いや、冥土の納めどき……ん?」


「早くつかまって!!」 


「えっ!?」


 勇樹は、再び我を取り戻し、何度も大きくまばたきをした。


 頬に風が当たる。


 腰には締め付けられるような感覚。


「あれ……これって……」


 落ちてない。


 自分に括られているツルの先は、頭上まで伸び、橋に上にまで 届いている。


 気がつけば、翼竜の姿がない。だが、肩には違和感がある。


 見ると、翼竜のものと思われる爪が肩に食い込んだままだった。


 奈美の手には血のついた剣があった。


 そう、奈美が切ったのはツルではない。翼竜の手だった。


「な……奈美……」 


「私についた心の傷を、償ってもらうまでは、死なせない」


 そう言って、奈美はツルを握って、手を伸ばした。


 勇樹は軽くなったのか、風が吹くと、クルクルと回ってしまう。


「うわっ……風が強い……」


 勇樹も手を伸ばした。が、なかなか届かない。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ