修練の鏡と精霊の大地
第13章 橋の上の攻防
「な、奈美っ!! ちょっと手が届かない……頼む、二人でツルを引っ張ってくれ!!」
奈美は頷いた。
「球也さん!! お願い、一緒に引っ張って!」
「お、おう!!」
ただ、重さにこらえているだけだった球也も、ツルを引っ張りはじめた。
「よっしゃ、奈美ちゃんいくでぇ!!」
球也は立ち上がって、勇樹に繋がっているツルを両手で掴み、グッと引っ張った。
奈美も少し下がって、一緒に引っ張った。
『バチッ!!』
突然、弾けた音と共にツルが軽くなった。
「あれっ?」
球也がツルを引くと、するするっと、滑るように引き上がる。
その先には……勇樹の姿はなかった。
「!」
球也の血の気が引いた。
奈美は口をポカーンと開けたまま、硬直している。
球也はあわてて橋の下を覗きこんだ。
手を大きく広げて、なにやら叫びながら、徐々に小さくなっていく勇樹の姿が見えた。
「……」
「……」
なにも見ていないことにした。
ツルが切れた。
これは事故だ。
奈美は頷いた。
「球也さん!! お願い、一緒に引っ張って!」
「お、おう!!」
ただ、重さにこらえているだけだった球也も、ツルを引っ張りはじめた。
「よっしゃ、奈美ちゃんいくでぇ!!」
球也は立ち上がって、勇樹に繋がっているツルを両手で掴み、グッと引っ張った。
奈美も少し下がって、一緒に引っ張った。
『バチッ!!』
突然、弾けた音と共にツルが軽くなった。
「あれっ?」
球也がツルを引くと、するするっと、滑るように引き上がる。
その先には……勇樹の姿はなかった。
「!」
球也の血の気が引いた。
奈美は口をポカーンと開けたまま、硬直している。
球也はあわてて橋の下を覗きこんだ。
手を大きく広げて、なにやら叫びながら、徐々に小さくなっていく勇樹の姿が見えた。
「……」
「……」
なにも見ていないことにした。
ツルが切れた。
これは事故だ。