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修練の鏡と精霊の大地

第1章 黄昏時に出会して……

 落ち着いていれば、甲子園の土を踏むことが出来た。


 応援していた人達からは、落胆の声と冷たい視線が送られた。


 大恥をかいた球也の心には、その傷がトラウマとして深く刻まれていた。


 それが、スランプを生み出し、練習でバットを振っても、ボールが当たらなくなっていた。


 打てない、取れない、走れない。




 いつからだろう……。



 下をうつむくことが、多くなったのは……。


 顔を上げ、背筋を伸ばし、胸を張ることはしなくなった。


 なかなか、あの試合のことが忘れられない。


 部活の練習の時でも……。


 グラウンドの脇を、数人の女子生徒が通る。


「なぁ、ピッチャーの速水くんて、カッコええよね」


「えっ? もしかして、狙ってんの?」


「そんなんやないけどさぁ……でも、彼女とかいてるんかなぁ……」


 そんな声が聞こえてくる。


 そんな中に……。


「あそこにいてんの、あの試合の時、超エラーかました人ちゃう?」


「あっ!! そうやそうや、あいつのおかげでうちの学校負けたんよ」


「ありえへんよね!? でも、なんかウケる〜」



 面白いか?




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