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修練の鏡と精霊の大地

第14章 精霊の大地

「プワァーーッ!! 生き返ったぁーー!! いくらでも飲めるわ」


 火照った体を内側から冷やす。もう、お腹を壊して下痢してもいい。そのくらい、水がありがたかった。


 奈美は布に水を染み込ませ、首もとにあてた。


「はぁ〜、気持ちいい……よかったぁ、水があってぇ……」


「ほんまは少し塩分があればええんやけど、とりあえず水分補給だけでも助かった」


「あそこで、あんな怪物が出てこなかったら勇樹さんも……」


 ほんのついさっきまで、矢で射ち抜きたいほど恨んでいた相手。


 だが、それは不器用な男が不器用なりに見せた、優しさの表現だった。


「でも、あの暑さでイライラして、こっちに八つ当たりきたんは、マジやで」


 球也には、ただの暴力に感じたようだ。


 二人は風に当たり、しばらく休憩をとった。


 塔の中で、粉々に粉砕された火の精霊は、ようやく1つにまとまって、石になったようだ。


「おっ! 戻ってるやん。後は力を回復させるだけや」


「精霊さんが、いるといないとでは、怪物との闘いで大きな違いがあるもん」


「たしかに。でも、精霊も力を使うことで、自分を強くするらしいよ。レベルアップするんやな」



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