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修練の鏡と精霊の大地

第14章 精霊の大地

「ここでは、これが紳士的な礼儀でございまして」


「えっ!? そうなん? まあ、あの妖精の村にも、わけのわからんもんがあったしなぁ」


 球也は血が止まって、乾いた頭を左手の指で、かるくこすった。


 パリパリになった血の粉が落ちた。


「おやおや、大変痛々しい……いったい、誰がこんな」


「見てたやろう!! あいつらだよ!! だから、四回目を促す口振りはやめぃ!!」


 ドラムは小さな口を目一杯広げて笑った。


「うっひっひっひっひっ」


「怖い怖いその笑い方!! なんでこの展開で、こんなん出てくんねん……てか、あんたはここの長なんやな」


「そうです。この大地の精霊達を見守っております。彼らはここでは人間と同じ。私は、神みたいなもんでしょうかね」


 ドラムは6本の腕をワサワサと動かしながら話す。


「俺には水族館の館長に感じるが……」


「まあ、人の見方はそれぞれでございますよって……ところで、あなたの懐におられるそれは?」


 ドラムは球也の胸のあたりを指差した。


「えっ……この中、見えるの?」


「匂いがいたします。鼻は敏感でございますので」


「鼻はどこやねん……」




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