テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第2章 物語の扉

 ヌカーは竹カゴを指差した。


「勇者様、こちらに用意してあるのは、この村で揃えられる限りの戦の装備品でございますも。ぜひご着用を」


 マジで戦わなくては、いけないのか……。


 なんて所に、来てしまったんだ……。


 全身に、いやな汗がにじむ。


 だが、ラッキオの涙ながらの訴えが、心を動かした。


 それに、何か自分を変えなければという心がそこに加わり、球也の決心を固めた。


「わかりました。僕に出来るかどうかわかれへんけど、この世界の食と僕がいる人間の世界の食を守るという使命を……」


「では、さっそく準備を……」


「今から!?」


 チムキに奥の部屋に案内してもらうと、球也は用意された服に身を包んだ。


「うわ……怖なってきたわ……多分、この件が終わらんことには元に戻れないやろうし……最悪だ……てか、生きて帰れるんかなぁ……」


 大きな不安を抱き、球也は濡れたスウェットから、ヌカーが用意した物を着込む。


 薄い茶色の半袖の服にすねまでの半パン。草で編んだ帽子に、陶器の盾。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ