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修練の鏡と精霊の大地

第14章 精霊の大地

 球也と奈美は、サックとドラムに手を振った。


「また、戻ってくるからなぁーっ!!」と球也は再会を約束した。


 ドラムは涙を流しながら6本の腕を振る。


 それをサックが嫌そうな顔をして見ていた。


 二人は道なき道を歩き、ジャングルの草木の中をかき分けて進む。


 途中、水の精霊の力で、水分補給し、いろんな精霊と出会いながら、進むこと20分。






 着いた。


「えっ……」


 目の前に「冥界」と書かれた、巨大な石の門がある。


 球也は何度も目をこすって確認する。


「え! あれ? これ……岩の山を登ったよなぁ……」


「でも……あれ?」


 奈美も、どう整理していいのかわからない。


「あのドラムってやつ、歩けば14時間とか言ってたで」


「だって、30分も経ってないよ」


「あいつの足で14時間ってことか? たしかに、ナメクジなみに遅かったけどさぁ……あれ?」


 なにかを思い出した。


「なぁ、僕が奈美ちゃんとこに走ってきたとき、あいつも走ってなかった?」


 建て看板で待ち合わせしていた時だ。


「そうだ……球也さんの後ろからついてきてた!」


「……あいつ、自分の限界無視して走ってたんやな……わけわからんやつや」


 かなりの大冒険になるかと思いきや、意外とあっさり行けたので、拍子抜けしていた。


 だが、自分達は神の精霊を手に入れるためにここに来た。


 それを手に入れるまでは、帰れないのだ。


「確か、受付窓口があるらしい。やつが言うてたわ」


「あの白いやつかなぁ?」と奈美が指を差す。


 街中の市役所風な建物が見えた。


 門をくぐると、正面に見える建物に進む。


 入り口手前に、その窓口があった。


 中には正面から見たフグのような丸い顔が見える。


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