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修練の鏡と精霊の大地

第14章 精霊の大地

 建物の中に入ると、左側に受付窓口があった。


 中には先ほどの窓口の警備員によく似た、フグ顔がいた。


「……」


 いやな予感がした。


「あの……この中に進む入場許可証を……」


「……」


「あの、すいません。入場許可証を……」


「……」


「お客様、なにかお困りですかーっ!?」


 さっきのやつが入ってきた。


「うわぁーっ!! その手をワサワサ動かしながら来るのヤメテーー!!」


 球也は本気で叫んだ。


 奈美は、とにかく絶句だった。


「ここの窓口担当はどないなっとんねん!! みんな無表情でダンマリきめこんどるやないか!!」


「私が代わりに担当いたします。ナナエと言います。申し訳ございません」


 ナナエと名乗るその者は、深く頭を下げた。だが、その目はギョロりとこちらを向いていた。


「名前はかわいいけどなぁ……夢に出るわ」


 球也はなるべく、見ないようにした。


「あの、ひょっとしてあなた方は、人間でございますか?」


 ナナエが舌をチロチロと出しながら、そう尋ねた。


「奈美ちゃんは、あれ見たらアカンで……はい、僕らは人間です」


「あ、申し訳ございません。ここは人間の方はご入場できません」


「なにっ!?」


「あの冥界の門をくぐられただけならまだしも、あなた方はまた生きてらっしゃる人間。妖精とは違いますので、一度死んでいただかないと、こちらへの入場はちょっと……」


「まじか……」


 生きている人間は入れない。しかし、入らなければ、神の精霊は手に入らない。



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