テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第14章 精霊の大地

「奈美ちゃん、ほんまに14歳か?」


 奈美の言葉の圧に撃沈。行くだけ行くしかない。そう心に決めた。


 ナナエの案内により、建物の裏に案内された。


 表側の明るさに対し、雲がかかったかのように薄暗く、雑草が生い茂り、空気も冷たく湿っぽい。


 そこにひっそりと姿を現した、板でフタをされ、緑の苔が付着した石の古井戸。


「ヤバイって……ビデオカメラ置いて撮影してたら、中からなんか出てくるパターンやって……で、テレビで紹介されて、RePlayかかったあと、おわかりいただけただろうかってナレーションかかるって……」


「大丈夫です。そんな呪いのビデオ的なことはおきません」


「それ知ってるぞみたいな、ニンマリとした笑み浮かべるなよ。なんか出そうで気持ち悪いって言ってんの」


「ここはすでに、妖精のあの世みたいなもんですから、精霊そのものがなにかですね」


「それ聞いたら、怖くないような……てか、人間でも来れる霊界って……」


「あの世ですけど、あなた方、人間の世界のあの世とはまた違います。妖精達が、亡くなって精霊の姿となった身内の魂を、受け取ることが出来るようにしてるのです」


「しかし、その精霊がウンコの精霊やったら、家族も辛いやろうなぁ……」


「なにになるかは、その妖精の生前の行いによって決まりますから、下品なものはそうとう悪いことをしているのでしょうなぁ」


 ナナエはそう言いながら、井戸のフタをあけた。


 球也が中を覗きこむ。


 井戸の底は真っ暗でなにも見えない。


 ナナエは井戸の中を示した。


「さあ、どうぞ行って下さい」


「そのタイミングで行けるかっ!!」


 だが、奈美は普通に入っていった。


「えっ!? うそやろ!!」


「球也さぁーーん! はやくううぅぅーー……」


 奈美の声が小さくなっていく。


「マジかマジか……おい! ほんまに、闇神のとこいくんやろうなぁ!!」


「はい、間違いないです」


「くそっ!!」


 球也も井戸の中に入った。


「ぐわぁーっ!! 冷たいっ!!」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ