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修練の鏡と精霊の大地

第15章 元の世界

 男性は鏡を指差した。


「それはもう、ただの鏡だ。そこからはもう入ることは出来ない」


「なんだって!?」


「諦めるんじゃ。後は、自分の力で、いまいる本来の居場所で、自分を見つめなおすんじゃよ」


「なぜ、私はこの鏡から出されたの? あの世界はなんだったの? なにが起こってたの?」


「それは、わしに聞かれても……わしはただのやとわれ案内人。闇神を含む天の悪魔を倒してくれる人間を集めただけのこと」


「その天の悪魔ってなに? 今のこの世界となにか関係あるの? 知ってること言いなさいよ!! あの世界には、まだ仲間がいるかもしれないんだよ!!」


 莉子は男性の胸ぐらをつかみ、強引に詰め寄った。


「いかんいかん、首が絞まるわ……」


「じゃ、あんたはいったい何者なの? そのくらいなら言えるでしょ?」


「そ……それは……」


 男性は目をそらした。


 口元で小さくなにかを言っているようだが、ハッキリとは聞き取れない。


「言いたくないか……じゃ、これは用なしかな」



 莉子は手を離すと、なにを思ったのか、突然、鏡を地面に叩きつけた。


『ガシャーン!』


 鏡は破裂するように音をたてて割れた。


 砕けた鏡は、光を反射することを失った。


 男性はあわてて鏡の破片を拾い集める。


「怒らないのか? なんか力を持ってんなら見せてみなよ」と莉子は挑発するように言った。


 男性は悲しそうな目をしながら、チラリと莉子を見る。


「わしは、人間なんじゃ。そんな不思議な力なんぞ持っとらん」


「はぁ? 意味わかんない。じゃ、なんでこの鏡を持ってたのさ?」


「それは……」


『プルルルル、プルルルル』


 男性が言いかけたその時、携帯の着信音が鳴った。



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