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修練の鏡と精霊の大地

第15章 元の世界

 その頃、コウヤは……。


 若い警察官に、職務質問を受けていた。


「いや、俺はこのおっさんとじゃれあってただけだって」


「じゃれあってて、嗚咽するほど泣くことがあるか?」


「お巡りさん、なにか勘違いしてない? 俺はプロレスラーで、この老人は師匠なんだよ。昔、若かった頃のジャ○キー・チェンのカンフー映画であったでしょ! あれと一緒」


「あんたがプロレスラー? それにしては、細くないかい?」と警察官は疑う。


「いや、だから、今から師匠を起こすからさぁ」


 そう言うとコウヤは、老人を起こした。


 その際、耳元で「おい、余計な事を言うと鏡をぶち割るぜ。調子を合わせろ」と小声で言った。


「もう、師匠、酔拳教えるって、酒飲んでプロレスになるわけないっしょ」


「えっ!? あ、あぁぁ、プロレスとすいけんは〜どっちが強いのかなぁ〜ははは」


 さほどかみ合ってはいない。


 警察官はため息をついた。


「まあ、それだったら、こんな夜中に特訓をせずに、もっと明るい時にやってよね。近所迷惑ですよ」


 そう言って、警察官は自転車に乗って、去っていった。


「あの警察官バカだな。てか、これいつ返すんだ?」


 コウヤは鏡を示す。


「返してくだされ……わしはただのやとわれです。他になんにも知りません」


「親分はどこにいるんだ?」


「本当に知りません。明後日、向こうからこちらに来るんだ」


「どこからくる?」


「あ、でも関西だってことはチラッと……それ以外は本当になにも……」



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