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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

 すると、遥かななめ下になにやら見付けた。


「なにあれ?」


 よく見ると、それは扉のようにも見えた。


 緑の草原に立つ、血のように真っ赤な色の扉だ。


「あれに違いない」


 奈美は、そう思った。


「球也さん、あそこ!! ドアがあります! きっとアレが入り口ですよ!!」


「なんで、見付けるかなぁ……」


 見付けたのではない。見える所にあったのだ。


 それがあるならば、行くしかなるまい。


 たった一人の男として、奈美を守らなければいけない。だが、いつしか守られる側に、自分がたつかもしれない。


「あの扉のむこうに、運命がある」


 球也は奈美と一緒に、その扉に近付いた。


 広い草原の中に、たったひとつ、赤い扉は存在感を現している。


「なんだこれ? なんとかえもんのどこでもドアみたいな……」


 そう言って球也は、後ろにまわってみた。


 後ろはすりガラスのようなものが、貼ってあるだけだ。


「とりあえず開けてみよう」


 球也はドアのぶに手をかけた。


『カチャ』


 開けてすぐ、扉が出た。


「……なんで?」


 球也はドアのぶを握った。


『カチャ』


 また扉だ。


「いやいや、違うやん」


 また、ドアのぶを握る。ゆっくり開けてみる。


『……カッチャ』


 そこに出てきたのは、予想通りの扉だった。


「これ、『どこまでドア』やないか!!」




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