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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

 開けても開けても、何度開けても扉が続く。


 やがて、開いたままの扉がつらなって、壁みたいになっていた。


「こんなん、らちがあかん。石の精霊に、これを全部ぶち破ってもらおうや」


 奈美は頷いて、石の精霊を出した。


「この扉をごっつい石の力で、ぶっ飛ばしてほしいんやわ」


 球也がそう頼むと、石の精霊はスッと人型になった。


 なぜか風の精霊も出てきた。風の精霊は人型になると、身体中に小さな台風をまとっている。


 どうやら、石の精霊が出す石を、風の精霊が飛ばすという、連係プレーで行うようだ。


<待った! そんなん、あかんあかん>


 ソーヤが、球也の懐からしゃしゃり出る。


「なにがあかんねん?」と球也が言い返す。


<風の精霊が飛ばせる言うても、石を風でって、程度があるやん。それに、ぶち破るにしても岩の精霊やったらともかく、石の精霊で連続でドアぶち破るほどの石が出せるかどうかや>


「たしかに……どないしょ?」


 ソーヤは自分に指をさした。


 球也はポンと手をたたく。


「おっ!! そうか、こんな時こそ、神の精霊を……」


<またんかぁーい!!>


 ソーヤは声がかすれるほど叫んだ。


「なんや、急に……」


<ここに、ついさっき昇進したエリートがいてますやんか!>


「……だれ?」


<うちしか、いてまへんやろ。あのなぁ、うちが出すMAXのパワーリーフをあんさんが食べて、それから力いっぱい石を投げたらええんちゃうけ?>


 パワーリーフ。植物系の精霊が出せる、食べると一定時間だけ自分の力が上がるという葉っぱ。ちなみに、パワーリーフという言い方は、球也が名付けた。


「なるほど! それいこか。ほんまは、樹木の精霊になってから力を出したかったんやろ?」


<そやそや、わかるやろぉ〜>


 ソーヤはさっそく、パワーリーフを出しはじめた。


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