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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

「そこの若者、待った!」


 どこからか男性の声がした。


<えっ!? なんやねんなぁ……>


 自分の力を発揮しそこねた、精霊の怒りは半端じゃなかった。聞こえるほど、大きな舌打ちをした。


「その扉、破ってはならんぞ!!」


 球也と奈美は、辺りをキョロキョロと探し出す。


「ここじゃよ〜」


 その声は上空からだった。


 空を見上げると、二人は驚いた。


 見えない橋を歩いているときに出会した、黒い毛にまとわれた翼竜が、バサバサと羽をあおぎながら下りてきた。


「こいつが喋ってんのか!!」


 球也は剣を取った。


「早まるな早まるな。事は最後まで見届けい」


「誰だっ!!」


「まあ待て。いま、下りるからな」


 そう言うと、声の主は翼竜の背中から現れた。


 それは、茶色いポンチョのようなものを身にまとい、背中にヤりを担いだ、初老の男性だった。


「おう、ありがとうな。もういいぞ」


 そう言って男性が、翼竜の体をポンポンとさすると、翼竜は大きく羽ばたいて飛んでいった。


「えっ、なんだよこれ……あの怪獣と話せるん!?」


「うむ、生物の精霊と言うのが、コミュニケーションをとれるようにしてくれてるんじゃ。だから心が通じあえば会話も可能じゃな」


「へぇ〜、そんな精霊もいるんだ。探したらよかったな、奈美ちゃん」


 球也は奈美を見た。


 奈美は、下を向いて体を震わせている。



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