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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

「あれ? どったの?」


 球也が顔を覗きこむ。


 ポタリと水滴が落ちるのが見えた。


 泣いているようだ。


 すると、初老の男性がニコリと笑った。


「お前もここに来たのか。奈美よ」


 奈美は、顔を上げた。キュッと口をむすび、涙で頬を濡らしている。


「探したよぉ……おじいちゃん」 


 奈美は、男性に飛び付いた。男性は、やさしく抱き締める。


「なぜ、急にいなくなったのよう!! いっぱいいっぱい心配したもん!!」


 それは、奈美が探していたおじいさんだった。意外なところでの出会いだった。


「すまなかったな。ところで、奈美……お前、喋ってるじゃないか!!」


「うん、あの人のおかげ」 


 奈美は球也を指差した。


 球也は奈美にそう言われ、照れもしたが、内心『いや、俺が危ない目にあった時に、奈美ちゃんが叫んだだけなんやけど』と思った。


 男性は球也に近付いた。


「わしは淀屋橋田助。いろいろ、孫が世話になったみたいだな。礼を言います」


「いえ、僕の方が、奈美ちゃんに助けてもらってるんで……」


 球也は、はにかみながら言った。そして、気になることを尋ねた。


「なぜ、これを破壊してはいけないんですか?」


「じゃあ、なぜ破壊しようとしてたのだ?」



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