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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

「お前達は、お稲荷さんはしっとるか?」


 淀屋橋は二人にそうに尋ねた。


「知ってる。アゲで包んだお寿司」と奈美が言うと、続けて球也が「男についてるもの」と言った。


「うむ……まあ、ある意味間違ってはいない。いや、京都の伏見稲荷はご存知かね?」


 球也は手を上げた。


「あっ、知ってます。僕は関西ですからね。たしか、神社の中に、ズラッと赤い鳥居が並ぶ所でしょ?」


「うむ、まあ、そうじゃな。つまり、鳥居そのものは神様の入り口と言うか、神の世界と現実の世界を分ける境界線とされておる。つまり、この扉は、この世界では鳥居と同じということじゃ。と、言うことは……」


 奈美が気が付いた。


「ここはお稲荷様に通じる入り口ってこと?」


 淀屋橋は笑顔で、ウンウンと頷いた。


「なるほど、だから鳥居と同じように、ドアが続いてるってことか」


 球也もわかったようだ。


「二人とも正解じゃ。つまり、ここはお稲荷様のいる世界に通じる扉なわけじゃ。つまり……」


「ちょっと待ってよ」と球也が話に割り込む。


「じゃ、コックリってのは?」


「うむ、それを今から言おうと思ったんじゃ。コックリやら闇神やら、そんなものは存在せん。つまり、我々の敵とされていたのは、実在する神々なんじゃ」


「はぁっ!? なんすかそれ? じゃ、あの妖精達が言ってる復活する闇神や暗黒の釈迦って……」


「我々が普段、寺や神社でありがたく拝んでいる、神様仏様だ」


 頭の中が真っ白になった。高校受験や野球の地区大会で神頼みしていた相手と、今から戦おうとしていたのだ。


「どうやら、神様と言っても生身の人間相手には戦えないようだ。幸を与えるとあっても、争いは出来ない。だから、我々が行っても勝てる相手なんだ」


<ちょっと待ってえな!!>


 ソーヤが出た。



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