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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

 球也と奈美は、顔を横に振る。


「ふむ……では、その答えを知るには一度、下に戻った方がよかろう」と淀屋橋が言った。


「えっ!? なんでですの? やっとここまで来たのに……」


 球也は落胆して肩を落とす。 


「おじいちゃん、理由を教えてよ。私達、ここに来たのは間違いだったの?」


 最初はアビラの水を求めて、大変な思いをしてまで塔の最上階を目指した。


 偶然、そこに勇樹がいたおかげで、ここから精霊の大地に行けることがわかり、光の橋を歩き、途中、翼竜に襲われ、太陽の熱に苦しみ、勇樹が橋から落下し、やっとのことで精霊の大地に着いた。


 しかも、闇神や暗黒の釈迦など、天の悪魔のいる世界に通じる井戸があると、成り行きと偶然の重なりがひとつになって、やっとここまできた。


 だが、奈美が探していた実の祖父、淀屋橋田助が待ったをかけた。


「うむ、ここにいる理由はない。なぜなら、天の悪魔など存在しないからであり、それを教えてくれたのは、お前達が退治していた怪物達じゃよ」


「退治していたって、妖精達を襲ってんだから、そりゃ倒しますわ。てか、よけいにわからん……頭、ぐちゃぐちゃや」


 今までのことと、今言われたことがひとつに結びつかない。


「では、あの先を見よ」と淀屋橋が指差した。


 ここからだと米粒ほどの大きさに見えるが、なにやら白い扉が見える。


 球也は、目を凝らして見る。


「また扉?」


「うむ、ここにはこの赤い扉以外にも、いくつもの扉があるんじゃよ。あれは、お前さんが探していた闇神の扉じゃないかのう」




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