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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

「わっ!? なにそれ?」と奈美が、鏡じゃなく雲に驚いた。


 淀屋橋は笑った。


「雲の精霊に雲を出してもらい、下を氷の精霊に凍らしてもらう。そして、風の精霊に下から風で押し上げてきてもらったんじゃよ。ま、空は飛べんが地上を移動するくらいならこれで事足りる」


「低飛行な孫悟空なんすね……」


 球也にはそれ以外の言葉はなかった。


「おじいちゃん、鏡になってるけど、これって……」


 奈美は鏡を眺める。


 淀屋橋は雲から降りると、鏡を指差した。


「これは、我々にとっては鏡だが、実際は鏡ではない」


「どういうこと?」


「これこそ、本来の神の姿かもしれんな。つまり、神は己自身と言うことだ」


「ん〜、なんか意味が深そうなんやけど、訳わからん」


 球也は何度も頭を傾げる。


 淀屋橋は鏡に手を当てた。


「まあ、わしの勝手な想像かもしれんが、神というものは特別には存在しないのかもしれん。妖精達が恐れる神。おそらく、この鏡の中に答えはある」


「それは、闇神ではないんですね」


「闇神はおらん。まあ、せっかく扉を開けたんじゃ。行こうじゃないか」


 淀屋橋が一歩ずつ進むと、鏡の中に吸い込まれるように入っていった。


「げぇっ!! か、鏡の中に入っていった!!」


 球也は激しく驚愕する。


「いや、球也さん、私達も鏡から入って、ここに来てるんだけど……」


「あ……じゃ、後を追いかけよう」


 球也は淀屋橋の後を追うように、鏡の中に入っていった。


 後ろから来る、奈美の手を握って……。



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