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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 ソーヤは俯きながら、他の精霊に、背中を押されながら戻ってきた。


 鮮やかな色、花の精霊だろうか? 元気出せよと、言っているようだった。


<サック……他のやつと同化して、パワーアップしてた>


 フラれたようだ。


「あらら……じゃ、行こか」


 球也には、それしか言葉が出なかった。


 再び翼竜の背中に乗ると、精霊の大地の住民ドラムが木の陰から顔を出した。


「みなさーん、お達者で〜」と、大きく6本の腕を振る。


「おう、ドラム!! 神の精霊、なんの苦労もなくスムーズに手に入ったわ! いろいろありがとうなぁ」


 球也をはじめ、奈美と淀屋橋も手を振った。


 翼竜は大きく羽ばたき、離陸する。


 そして、精霊の大地が小さくなると、バッサバッサと羽を扇ぎ、空を進んでいく。


 奈美は上から覗きこむ。高さは相当あるが、二度とは来れない精霊の大地の全貌を、目に焼き付けた。


「この世界に来て、一番ホッとできた場所だったなぁ」


 奈美はポツリとそう言った。


「なんか、短い時間やったけど、もっと散策したかったなぁ。他の精霊も見たかったわぁ」と球也が言うと、ソーヤが<けど、全種の精霊の力を手にいれたやんか。ええんちゃうか?>と言った。


 全種の精霊の力。それは神の精霊のことだ。


<なぁ、本当は神の精霊さえあったら、他の精霊はいらんはずやで。うちらも来ていいんか?>


「当たり前やん、この世界での仲間やで。ひょっとしたら、もうすぐ最後の闘いになるかもしれんしな。力を借りんと」


<敵は闇神やと思ったのに、違うんやな。まあ、うちはあんたらの力になれたら、それでいいさかい、頑張るで!>



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