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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

「えっ!? 待って、なにがはじまってんの?」


 球也がうろたえる。


 サイとクワが当たる金属音がキンキンと響き、身軽に動くユングの打撃で苦しむ村人の唸り声が耳につく。


「きさまらも人間だなっ!!」


 球也にも、村人は襲ってきた。


 中肉中背の男が、太い角材を振り回して球也に迫ってくる。


「球也っ!! 闘えっ!! こいつら、俺達が思っていたやつらじゃない!!」


 ユングは小さな体で、必死に応戦する。


 奈美はとっさに、精霊を使った。


 大人数には石の精霊の石つぶてや、果実の精霊のイガグリが飛ぶ。


<うちもやるか!!>


 ソーヤは周りの木を味方につける。念を送れば、生き物のように動きだし、向かってくる住民を蹴散らす。


<よっしゃ! これ、食べや>と手のひらほどの葉っぱを3枚出した。


 1枚は球也。ユングも奈美も1枚ずつ受け取った。


<スーパーパワーリーフや!! 食べたら、力は500倍から1000倍やで!!>


 食べた三人は素手で向かっていき、5分ほどで片付けた。


 村一面に、男達が唸りながら、横たわる。


「すごいなぁ、クワで何度も殴られても無傷やわ」


 球也は息切れもしていない。


「すげぇ、鎌で目をつかれても、鎌の方が折れたもんなぁ」とユングは顔をパンパンとはたいた。


「ところで、これ、なにがあったんすか?」


 奈美が聞いた。


「そうだ、それを言わなきゃな」


 ユングはサイを腰にあるホルダーにおさめると、ペタロの診療所を指差した。


「ただの燃えかすになっちまったが、あれがペタロさんの病院だった所だ」



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