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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

「くそ! お前、背が高いんだよ! 下ろせよ!!」


「いや、あんたが小さいんでしょ」


 男がしゃがむと、ユングの足は地についた。


 それと同時に、球也が戻ってきた。


「ユングさーん、池にはなんもないわ。ひょっとしたら、あの池にはピラニアみたいな魚がおって、二人は、骨になったんちゃいますか?」


「なに? 人食いの肉食魚かなにかが、いるってか?」


 ユングはサイを抜き、男に突き付けた。


「おい、あの池になにがいる? 答えろ!!」


 サイの先で眉間を突かれ、男はうろたえる。


「待って……俺は長年この村にいるが、あの池には巻き貝しか見たことがない」


「その貝は肉食だろっ!!」


「いえ、草食です!」


「本当のこと言わないと、お前の鼻の穴が4つになるぜ!!」


「せめて、3つでご勘弁を……」


「それか、2つを1つにしてやるか!」


 このやり取りを見ていた奈美は、どっちが味方で敵なのかと考えていた。


「まった!! もう、新喜劇はおしまいだ」


 突然、どこからか、野太い声がした。


「誰だ!? 邪魔するな!!」


 ユングはその声に反応したが、サイの先は男の乳首をドリルする寸前だった。


「そのポポ(男)をこちらによこせ」


 そこに現れたのは、黒いブラにビキニパンツを身に付けた、頭がツルツルの筋肉質な男だった。


「な、なんだ?」


 ユングは拍子抜けした。


 出てきたのが変態ファッションの、細マッチョ。


 どう対応していいのか、わからない。


「あの、おたく、それ本気?」


 対応したのは球也だった。




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