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修練の鏡と精霊の大地

第3章 冒険の旅へ

「やっぱり独特なもんがいるんやなぁ」と球也は、その蝶々に目を奪われた。


 やがて、蝶々はヒラヒラと球也の左腕に止まった。


「おっ!? 人懐っこい?」


 6本の足が、しっかりと腕にしがみつく。サイズ的にはハマグリ程度だが、球也はジッと蝶々を見つめる。


 その蝶はストローの様な口を伸ばすと、球也の腕に食い込ませる。


「えっ!?」


 すると、その口から赤い物が吸い上がってくる。


「えっ!? これって、蚊?」


 球也は慌てて腕を振り、蝶を落とす。


 だが、しっかりと掴んでいる6本の足がそれをさせなかった。


「待って……アカンて、アカンて、アカンって!!」


 手で払うが微動だにしない。


 叩き潰そうとするが、こんなのを叩き潰す勇気がない。


『キュッ! キュッ! キュッ!』


 血を飲む音が聞こえ、音と共に体がピクン、ピクンと動く。


「気持ち悪い気持ち悪い、早くなんとか……」


 太い木の枝を見付けた。球也はそれを拾うと、蝶の胴の下に入れ、グッと押し上げた。


 蝶も負けてはいない。全身に力をこめている。



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