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修練の鏡と精霊の大地

第3章 冒険の旅へ

 すると、また一匹、また一匹と、赤い蝶が寄ってくる。


「ヤバい……これ、吸血蝶ちゃうん」


 球也は右手で追い払う。が、次々にその蝶は増えてくる。


 球也は腕に吸い付く蝶を鷲掴みにし、無理からにひっちぎる。


 足はちぎれ、口は刺さったままだ。その吸い口から、血が吹き出る。


 その血の匂いに誘われ、さらに蝶々が増えてきた。


「アカン……村に戻らんと……」


 球也は村まで、全力で走る。


 そして、滑り込むように、ロープの結界の下をくぐる。


 蝶々の群集はバサバサバサと音を叩きたて、こっちに向かってきた。


 やはり、ここからは入って来れないようだ。



 結界の外を、ただヒラヒラしているだけだった。


「あんなんおったら行かれへんやん……どないすんの!?」


 村から蝶々の様子を、見るしかできない。


「おっ!? カチョ〜ンにやられたんだな」と後ろから、体格のいい無精髭のおっさんが現れた。


「カチョ〜ン? なんですか?」


「吸血虫の一種だ。あのなぁ、村から出たら赤い虫には気をつけんと、赤いのはみな血を吸いよる」



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