修練の鏡と精霊の大地
第18章 闇の者
だが、球也は返事ひとつしなかった。
「球也くん?」
淀屋橋が球也の肩にポンと手を置いた。
球也は目を開けた。
「声がするんです」
「そりゃ、わしが喋っておるからのう」
「いや、ちゃうんすよ。頭の中で声がするんですよ」
球也は耳をふさいでみる。
「なんやこれ!? 誰か、俺を呼んどる」
頭の中で、球也を呼んでいる声がする。
その声は、球也には聞き覚えのある声のようだ。
「……優也?」
優也とは、球也の弟の名前だ。
『あにき……だよ……きろよ』
声が頭に響く。
「優也だよな? しばらく名前も思い出してなかったから、忘れてたわ」
頭の中の声に語りかけても、なにも反応は返ってこない。
「なにか、あったのかね?」と淀屋橋は心配そうに言った。
「いや、頭の中でずっと声がするんです。それも弟の声っすわ」
「弟さんの声? わしの声は、きみの弟さんの声に似ているのかね?」
「いや、そうじゃなくて……おじいさんもちょくちょく挟んできますね」
球也は目を閉じて、その声に気持ちを集中させた。
『兄貴、起きろって、大変なことになってるよっ!!』
ハッキリと聞こえた。
「なんだ!? テレパシーかっ?」
球也は起き出した。
「あ! よかった、目が覚めないからどうしたかと思ったわ」
「球也くん?」
淀屋橋が球也の肩にポンと手を置いた。
球也は目を開けた。
「声がするんです」
「そりゃ、わしが喋っておるからのう」
「いや、ちゃうんすよ。頭の中で声がするんですよ」
球也は耳をふさいでみる。
「なんやこれ!? 誰か、俺を呼んどる」
頭の中で、球也を呼んでいる声がする。
その声は、球也には聞き覚えのある声のようだ。
「……優也?」
優也とは、球也の弟の名前だ。
『あにき……だよ……きろよ』
声が頭に響く。
「優也だよな? しばらく名前も思い出してなかったから、忘れてたわ」
頭の中の声に語りかけても、なにも反応は返ってこない。
「なにか、あったのかね?」と淀屋橋は心配そうに言った。
「いや、頭の中でずっと声がするんです。それも弟の声っすわ」
「弟さんの声? わしの声は、きみの弟さんの声に似ているのかね?」
「いや、そうじゃなくて……おじいさんもちょくちょく挟んできますね」
球也は目を閉じて、その声に気持ちを集中させた。
『兄貴、起きろって、大変なことになってるよっ!!』
ハッキリと聞こえた。
「なんだ!? テレパシーかっ?」
球也は起き出した。
「あ! よかった、目が覚めないからどうしたかと思ったわ」