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修練の鏡と精霊の大地

第18章 闇の者

 球也はそのまま上空を見上げた。


「胸騒ぎもなんもしない。なにがおこってるのかもわかんないしさぁ……待てよ?」


 あることを思い出した。


「あの河原に行ってみるか……」


 あの河原とは、あの鏡をくれたタクノアンと出会った場所だ。


「そういえば、鏡!」


 球也は家に入り、鏡を取りにいく。


 部屋の自分の机の上には、タクノアンから預かった鏡が置いてある。


 鏡を何度も覗いてみた。


 もう、おかしなことはなにもおこらない、普通の鏡。


 自分は本当にこの鏡に吸い込まれたのか?


 球也は鏡を持ってリビングに向かった。


 優也がライトを片手に、この先、必要なものを物色している。


「優也、俺、机にうつぶせて寝てたのか?」


 優也は家族の保険証と通帳を手提げカバンに入れる。


「そうだよ。兄ちゃん、疲れてたみたいやなぁ。口と鼻ふさいでも起きへんかったから、かなり皮膚呼吸で頑張ってたで」


「お前、なにしてくれてんねん。てか、いまのお前の行動、空き巣に見えるぞ」


「いや、これ大事だろ。二人とも小学校の体育館に向かってるよ」


「いや、後からいく。先に行く所あるし」


 そう言うと、球也はカバンと鏡を持って家を出た。


 向かうはタクノアンと出会った河川敷。


 なにか知っているに違いないと、足早に進む。


 途中、一台のパトカーとすれ違う。


 高校生の自分が、こんな時間に行動していると、なにか言われるのではないかと、つい緊張してしまう。


 だが、そのパトカーは違った。


『そこの男性、すみやかに避難場所に移動するか、家から一歩も出ないように。危険な生物がうろついているかもしれないから、早く戻りなさい』とマイクを通して注意をうけた。



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