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修練の鏡と精霊の大地

第18章 闇の者

「き、危険な生物!?」


 動物園から猛獣でも逃げたのか?


 よくよく見ると、少し開けた道には機動隊らしきものがうろついている。


 いったいなにが起こっているのだろうか?


 見つかったら引き返せと言われるに違いないと、球也は少し狭い路地に入る。


「なにかとんでもないことになってるなぁ……自衛隊やらもいたし、なんか危ないもんおるんやろなぁ……」


 自転車も通れないほどの狭い道をとおる。


 この道は小学生のころ、友達の家にいくために通った近道だ。


「ここを過ぎたら、河川敷まですぐ……」


 球也が路地を出ようとした、その時だった。


「うわぁぁぁーっ!! た、助けてぇーっ!!」


 突然、男性の悲鳴が聞こえた。


「ビックリした!! なにいまの?」


 静かな空間で耳に響いた助けを求める叫び声。


 球也はなにがあったのかと、声がした方に向かった。


 路地を抜け、広い通りに出てすぐのところに、それはいた。


 白の作業服に身を包んだ30代くらいの男性が、軽自動車ほどの大きさのダンゴムシに襲われている。


「……仲いいなぁ、じゃれあってるんだね」 


 球也はそう言って、通りすぎようとした。


<ちょっと、なにしとんねん!! 助けんかいな!!>


 ソーヤだった。突如、球也のボストンバックから出てきた。


「ええっ!! ソーヤ!?」


<うん、そうや。いや、駄洒落やないで!! ソーヤやで>


 時間的には、ついさっき会っていたのに、かなり懐かしく感じた。


「ソーヤ、あれはいったいなんや?」とダンゴムシを指して言った。


<あれは、間違いなく闇の生物や。ジャイアント黒まるむしやわ>


「あ、名前は見た目そのままなんやな。で、あれは強い?」


<てか、怖いんだろ。だから、なかなか助けようとしないんやろ>


 図星だったが、球也はあくまでそれは違うと言う方向を押し通す。



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