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修練の鏡と精霊の大地

第18章 闇の者

 ソーヤは地面に下ろしてもらうと、すぐ近くにあった雑草にこそこそと話しかけた。


「なにしてんのさ?」と草に話しかけているソーヤに、球也が話しかける。


<よっしゃ、草花達に頼んだから、これで見付かるわ>とソーヤは言う。


「はぁ? なに言ってんの? んなわけないやろ……」


 草がタクノアンを見付けると言うが、そんことがあるわけがない。そもそも、草には芽はあっても目がない。




 すると……。



「うわあぁぁぁーーっ!!」


 悲鳴を上げる男性の声。


「な、なにいまの!? また怪物!?」


<いや、ちゃうなぁ。いましがたやから、タクノアンのおっさんやで>


「マジか!? ソーヤ、なにをした?」


<草にタクノアンを探してと、伝えたんや。で、草同士に話が数珠繋ぎで伝わって、見付かったら縛っといてって言うた>


「縛ってって、草にそんな力あるの?」


<あるわけないがな。うちが、草全体に念をかけたんや。そしたら、一定時間だけなら動ける>


「ソーヤ、すげぇー!! レベルアップしたなぁ」


<序の口や!! あっちの方向におる。あの橋の少し下がったとこや>


 ソーヤが示した所は、高架下だった。


 球也は、そこに向かった。


 川の水に空の色が映り、赤々とした色に見えた。


 停電のため街灯の明かりが消え、頼りは月の光のみ。その月までも、不気味に赤く染まっていた。


<おったで!>


 ソーヤが見付けた。


 高架の真下で、タクノアンはグルグルに縛られていた。


 球也は鏡を見せながら、タクノアンの元に近寄った。


「うわわわ、なんじゃ、やめてくれ……」


 タクノアンはもがいている。


<久しぶりやなぁ、おっちゃん>


 ソーヤが声をかけた。


「おう、ソーヤじゃないか。これはお前の仕業じゃな。なずなとタンポポに襲われたのは初めてじゃわ」



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