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修練の鏡と精霊の大地

第18章 闇の者

「イタタタタッ!! やめんかいソーヤ!! お前は生前はわしらと同じ者だったじゃろ!! なんで人間の味方をする!」


<さあね、元々はあんたら妖精も存在せえへんもんやったやん。闇の者が神さんらの圧倒的な力で大陸に姿を変えられ、その憎しみの念が妖精となったんや。それが死んで、うちら精霊となった。その精霊の世界を作ったのが、表の神仏達やと聞いてる。そう考えたら、闇と光のちょうど中間に我ら精霊がいてる。どっちに味方をするか、それやったら、同じ中間にいてる存在。人間の味方をするわ>


 タクノアンはフンと鼻を鳴らす。


「まあ、よい。精霊がなにをしようが、闇の者にはかなうまい。人間も精霊も、神仏どもも、すべて消え去るのも時間の問題じゃ。きさまらも、自分の身を案ずるがよいわ」


 タクノアンはそう言って、高らかと笑って見せた。


「お前は今の自分の身を案じんかい!!」


 球也はタクノアンを、河のそばまで蹴り転がした。


「待て待て待て!! わしを河に落としても闇の者の勢いは止められんぞ!!」


「だったら、一千万払えっての!!」


「おい!! なんでそうなるんじゃっ!! 関係ないじゃろ!!」


「てか、この鏡、また中には入れないのか? 助けたい人がいるんだ」


 球也が鏡を見せて言った。助けたい人とは、奈美とそのおじいさんのことだ。


 タクノアンは体をもぞもぞとさせて言った。


「中に入るって、お前の体が鏡の中に入ったわけではない。お前の意識が個体化して、妖精の世界に入っていったんじゃ」


 球也は意味がわからなかった。



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