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修練の鏡と精霊の大地

第18章 闇の者

「それ、どういう意味?」


「説明してやるから、まずはこれをほどけ」


 タクノアンはアゴで、己の体をグルグル巻きにしている草を示した。


 球也はやれやれと言った表情で、しゃがみこんだ。


「そんな説明されるより、今のあんたがよっぽどおもろいわ!! なずなとタンポポとヨモギが信じられんくらいに伸びて、ジジイ一人動けんほど、縛っとんのやで。こんなん生きてるうちになかなか見られへんわ。それに、ほどいたらお前、なにをするかわからへんやないか!!」


「そこは、しょうがないなでほどく流れじゃろ!! どうやったらほどいてくれるんじゃ!?」


「だから、一千万を……」


「お前、こんなじいさんに金払えと脅迫して、高校生として恥ずかしく思わんのか?」


「そんなもん、あんたが闇の者とわかった以上、普通にはほどかれへんわ!! それに、あんた力があるなら、自分でほどいてみぃ。てか、早く鏡のことを説明せんかい!!」


「お前、悪魔みたいなやっちゃな……どっちが闇の者かわからんわぃ」


 辺りが少し騒がしくなってきた。闇の者の使いの怪物が、次々と人を襲っているようだ。


 タクノアンはニヤリと笑った。


「徐々に我々の仲間が増えてきておるわ。お前もここでこうしていられるのも、時間の……いや、ま、鏡のことを、ちょっと話そうか」


「じいさん、いま余計なこと言ったら河に落とされると思っただろ」


「お、思っとらん! いいか、その鏡は、己の肉体を現代に残したまま、意識だけが鏡を通して、あの世界に行くことができる。もともと我々、闇の者と表の神仏は人間の目には見えない世界の者だ。生身の体で行けるわけがない」


「じゃ、そこで何かに襲われて死んだりしたらどうなるん?」


「死ぬわけないじゃろ。意識が戻るだけじゃ」



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