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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

「京都も広いやろ……それに山の中やったらどうしようもないで」


<うちが思うに、なにか意味があってここに来てるはずや。タクノアンやったらわかるんやけど……>


「まって……あれ」


 球也が目をこらして、指をむけた。


 その先に、小さな光が見えた。


「なんの光かなぁ?」


<とにかく、行ってみるしかないで>


「よし、あの光に向かって進もう。あれが見えるってことは、障害物が無いってことや」


 球也は歩き出した。


『ゴツッ!!』


「痛っ!!」


 膝をぶつけた。


 どうやら、二又に割れた木があったらしい。その間から光が見えていた。


「視力だけじゃどうにもならん障害物が多すぎやろ!!」


<なぁ、そのカバンの中に、なんも入ってないん?>


「へっ!?」


 球也は暗い中、ボストンバックの中を探った。


 テレビ通販で買った、懐中電灯付きのラジオがあった。


「むっちゃ、ええもんあったわ……もっと早くに気が付けばよかった」


<そう思たら、あんた無駄に痛い目におうてたんやな>


 球也はライトを照らし、足下に注意しながら歩いた。


 すると、前方に見えていた明かりが、少しずつ大きくなっていく。


 こちらから近付いてくるのではなく、どうやら向こうから来ているように見える。


「なんだよあれ、まさか人魂?」


<それって、人間の世界で言う、幽霊? うちと一緒やなぁ>



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