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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

「まあ、そうやなぁ……でも、霊は霊でもこの世界のは心臓に悪い」


<そうなん? じゃ、球也の後ろから着いてくる髪の長い女性は?>


 ソーヤのジョークで、球也は声にならない悲鳴を上げ、ダッシュで走り出す。


 途中で何度、躓いたのかわからない。


 球也の頭の中では髪が長く、青白い顔をした白装束の女が、足音をたてずに、手を伸ばして追いかけてくる様子がイメージされていた。もちろん、そんなものは追いかけてはきていない。


 ソーヤはクスクスと笑っていた。


 やがて、前方の光がハッキリと確認できた。


 光を目の前にしたその時……。


「わ、わ、わ……うぅわぁーーっ!!」


 突然、声を上げ、球也は腰を抜かした。


 闇の中、白い光の後ろに、うっすらと女の姿が見えた。


「出たーっ!! こら、ソーヤっ!! お前の目撃、マジあかんて!!」


<ええっ!! うち、冗談で驚かせただけやで>


 球也はあわてふためく。


 やがて、その光は、女の姿と共に落ちるように下がった。


<へっ!? あれ?>


 ソーヤは気が付いた。


<き、球也ぁ……この人……>


「あわわわわ……まあかあはんにゃらまたかしんぎょほう……」


 お経をしらない球也は、雰囲気だけでお経を唱えた。


「え……きゅうや?」と女が言った。


 女はライトを照らした。


 ライトの光は、腰を抜かして、木にもたれかかっている球也の姿を、暗闇から浮かべた。


「き、きゅう坊?」



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