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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

「おらっ!! そんな体になって威嚇してるつもりかっ!! かかってこいやっ!! こなけりゃ、ただのサンドバッグだぜっ!!」と言って、向かっていった。


 コウヤはそれぞれのキツネ人間の胸板に、渾身の力をこめた肘打ちを当てた。


 キツネ人間は悶絶しながら、ぶっ倒れた。


 次の攻撃に入ろうとしたコウヤは、呆気にとられて一度、手を止めた。


「待て待て! お前ら、よけい弱なっとるやないか!!」


 コウヤは今がチャンスとばかり、攻撃を仕掛けようとする。


 すると、一人のキツネ人間が半身を起こし、うろたえるような動きを見せた。


「ま、待て! 落ち着け」とキツネ人間は、声を出して言った。


「そうはいくかっ!!


 コウヤはそのキツネ人間の首根っこを狙って、サッカーのような蹴りを浴びせた。


「ぐおっ!!」


 声を出して、砂の上に横たわる。


 もう一人のキツネ人間が立ち上がった。


「ストップストップッ!! 本当にストップだ!!」


 中腰になり、両手を前に出す。


 キツネ人間の意外な行動に、コウヤの調子が狂う。


「なんだよいったい!! 展開と流れの空気を読めっ!!」


「いや、そう申しましても……」


「なんでそう、物腰が低いんだ。お前ら敵だろがっ!!」


「だから、あなたが本気で我々を潰しにかかるなんて思いもしなくて……」


「この妖しげな状況で、逃げることが許されないなら、本気で闘うにきまってるだろうがっ!!」


「ちょっと、心外ですねぇ。我々は、ただ海から出てきただけじゃないですか!! 見た目だけで敵と思わないでください!!」


「ん!! だけど、お前らも体をでかくして、戦闘モードに入ってたんじゃねえのかっ!?」


「いきなり殴りかかってきたから、怒ったんですよ!」


「フグかっ!!」



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