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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

 不気味に宙に浮かぶ鏡が、青白く光る。


 すると、その鏡の中央から一本の腕がニョキッと現れた。


「おおおっ!! タクノアン様じゃっ!! お待ちしとおりました!!」


 老人は、その手を両手でつつむように握った。


 タクノアンに鏡を返せば、一千万円が手に入る。人生をやり直せる。老人はそう期待した。


「残念ながら、タクノアンちゃうで」


 鏡から声がした。


「なに?」


 老人は訳もわからず、とりあえず腕を引っ張った。


 すると、鏡の中から若い男性が顔を出した。


「あっ、手伝ってくれてありがとう」


 鏡の中から出てきたのは、球也だった。


「な、な、な……なんですとぉーーっ!!」


 老人は手を離して、ひっくり返った。


 タクノアンが若返ったとでも思ったのか?


 球也は老人に「あんがと」と言うと、鏡から出て、地上におりた。


 続けて、女性が顔を出した。


「えっ!? ここどこ?」


 今度は、純化だった。


 球也は純化の手を引っ張り、地上におろした。


 期待を裏切ったサプライズに驚き、老人は立ち上がった。


「おい! なんじゃ、お前ら!! た……タクノアン様は?」


 老人がそう尋ねると、球也の懐から、ソーヤが出てきた。


<残念やけど、タクノアンはんは、どこかに逃げて行ったで〜。それに、任務が達成されてへんから、換金できへんわ。すなわち、その鏡はなんの価値もならん鏡になりおった>


「な、なんじゃとぉーっ!! おい、チビ助!! お前、タクノアン様と一緒にいてたじゃないか!!」


 普通ならソーヤを見て驚くのだが、この老人は以前にタクノアンと一緒に会っていた。



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