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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

<電話?>


 老人の言ったことが、気になった。


<さあ、うちはよう知らん。球也、先に行っといて、うち、後から行くさかい>


「あぁ、わかった」


 ソーヤに促され、球也は鏡の中に入った。


<じいちゃん、ええヒントおおきに!! お礼にこれ、やるわ>とソーヤは、大きな葉っぱに包まれた、人の拳ほどの大きさの塊を老人に投げた。


 老人は、それを受け取った。


<ほんなら、バイバーイ>


 最後にそう言って、ソーヤは鏡の中に入っていった。すると、鏡はその場で消えてしまった。


「なんじゃ?」


 老人は、その包みの葉っぱを1枚ずつめくってみる。


「うおっ!!」


 老人は思わず、声を上げた。


 中に包まれていたのは、キラキラと輝く、ダイヤモンドの原石だった。


 老人はそれをしっかりと握り締め、砂地に額をつけて号泣した。




 先に鏡に入った球也は、あっという間に、次の場所に到着。


 そこは、建物の中だった。


 そこには純化がいた。


「純化さん、ここは?」


 鏡から顔を出した球也は、キョロキョロと辺りを見回す。


 長い廊下の壁に、濃い茶色の扉が並び、扉の上には、窓から入る赤く染まった月明かりに照らされた、プレートがあり、そこには番号と名前が書かれている。


「どうやら、どこかのマンションみたい」


 純化はそう言って、壁に軽く手を触れた。


 球也は荷物を床に置き、全体を見渡した。


 停電中なのか、照明も、非常口の電気もついていない。


「コウヤさんは?」と球也が尋ねる。


「うん、なんか着替えるとか言うて、どこかに行きはったよ」


 球也が渡したスウェットに着替えているのだろう。


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