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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

 ユング、その名前は妖精の世界の小人の村で「戦士」や「勇気あるもの」を意味する。


 体が小さいことを苦に、妖精の世界の小人の村に来た藤山輝が、村の戦士と闘って勝利したため、自らそれを名乗り、この世界で生きていこうと決意した。


 だが、旅の途中で村に立ち寄った、球也達との出会いをきっかけに、人間の仲間の良さを感じ、一緒に歩んでいこうと気持ちを入れ換えた。


「じゃ、これから僕はユングさんを、輝兄さんと呼ばせてもらうわ」


 球也はそう言って笑った。


「おっ! 球也ちゃん、それいいねぇ。じゃ、俺も球也弟と呼ばせてもらうぜ」


 輝が言うと、みんなが笑った。


「よし、じゃあ俺の鏡を取ってくるよ。おい、そこの三流レスラー、お前も来い」


 勇樹がそう言って、コウヤに手招きをする。


 コウヤはムッとした顔をする。


「なんだよてめえ、偉そうに……まあ、三流は否定出来ねぇけどよ。ケンカおっぱじめんなら場所は選ばねえぞ」 


「一戦をやるなら、世界一を決めるリングの上だ。いいから、濡れた服も持ってこい」


「チッ、一言一言、気にさわるやつだな……」


 コウヤは濡れた服を抱えて、勇樹についていった。


 しばらくすると、二人はお揃いの迷彩模様の戦闘服に身を包んでやってきた。


 コウヤは言った。


「貸してくれてありがたいんだが……なんでお前とペアなんだ?」


「戦いにいくんなら、こっちの方がいいだろ。サイズが合ってよかったよ。今回はタッグでいこうぜ」


 勇樹は好きで迷彩柄の軍服を集めていた。


 やがて、もう1枚、もう1枚と宙に鏡が現れた。


 鏡の中から30代くらいで、メガネをかけた、目付きの悪い中肉中背の男性と、老人が現れた。


「あ、淀屋橋さん」と球也が声をかけた。


 鏡から出た老人は、奈美の実の祖父、淀屋橋田助だった。


 たすき掛けをした袴姿で、手には薙刀を持っていた。


「やはり、大事になっておりましたか……」と淀屋橋は言う。



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