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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

「あっ、このじいさん……」


 コウヤはそう言って、淀屋橋を指差した。


 それは一度、輝と一緒に会っていたからだ。


「おぉ、ここで皆さんとお会いするなんて……」


 淀屋橋は深々と頭を下げる。


「実は奈美ちゃんのおじいちゃんなんですよ。よかった、無事だったんですね」


 球也が紹介すると、淀屋橋はまた深く頭を下げた。。


「いや、あの後、球也くんがフッと消えたあと、急に奈美が泣き出しましてな。そうしましたら、大地が崩れはじめまして……気が付けば元の世界にいたわけです」


「そうだったんだ。で、奈美ちゃんは?」と莉子が聞くと、淀屋橋は頭を横に振った。


「いや、一緒に住んでおらんのでなぁ。ひょっとしたら、皆さんと一緒にいるのかと思っていたのですが……」と淀屋橋は、一人一人の顔を見る。


「えっ、あ、そうなんだ……」


 球也は残念そうに言った。


「てか、この人は?」と輝が手で、もう一人の男性を示す。


 それは、まったく覚えのない、メガネの男性。


 すると、勇樹がその男を斜視しながら言った。


「こいつは、俺と一緒に行動してた男だ」


 淀屋橋とユング以外は、一度、会ってはいる。プランツリという、巨大な肉食樹に追われている時に、勇樹達といたのだ。だが、その場にただけで、挨拶もなにもしていない。


 男は頭を下げた。


「すいません、僕……能瀬晴幸と言います。18歳です」


「なにぃーっ!」


 全員驚いた。


 一番驚いたのは勇樹だった。


「はぁ! お前、30じゃねえのか!?」


 見た目だけで、全員が30代だと思っていた。


「すいません……子供扱いされんのが嫌で……つい、見た目に合わせた年齢を言っちゃって……」


 晴幸と言う男は、申し訳なさそうにうつむく。


 勇樹が一瞬、ポカンと晴幸を見つめる。だが、すぐに頭をブルブルと振った。


「おい、こいつ、18のくせに、27歳の女を……」


「わぁーっ!! やめてください!! それは僕の意思関係ないんですって!!」



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