無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「あ〜、やだな。なんで、こんな目にあわないかんねん。でもなぁ、家にいてもなぁ……まだ家の方がよかったかなぁ」


　いろんな思いが頭の中を交差する。自分の弱い部分を突かれてタクノアンに騙されたんではないか？


　必要とされるのならば、もっと勇者に適している人間がいたはず。悩みを解決するみたいな上手いことを言われ、変な技を見せられ、ここに迷いこんでいる。


「詐欺か!?　てか、なんかの実験的モルモット扱いか？　なんなんだよクソッ」


　球也は頭を抱える。


　帰りたいけど、あの家には帰りたくない。帰りたいけど帰れない。


　ここにいるって事は、ここの世界でも帰る所は無い。と言うか、帰ることが出来ない。


　靴を脱いでくつろげる場所がほしかった。



　酒飲み屋を探すのが、この冒険のミッション。このミッションが最終だったら、どんだけ幸せなことか……。


　早く動かないことには、ダラダラした展開から進まない。


　球也は気合いを入れて立ち上がる。



　すると……



「あんた、人間ちゃう？」


　誰かが声をかけてきた。