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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「なぁ、あれって、倒さなくてもええの?」


 球也が、ソーヤに聞いた。


<あんなやつら、ほっといたらええ。むやみに体力使うことあらへん。奪う鏡も無いさかい、やがておらんようなる>


 ソーヤが言うと、それに勇樹が返す。


「でも、やつらは人を襲ってんだろ? なんとかしなきゃ、被害者がどんどん出ちまうぜ」


<せやけど、やつらはどんどん涌いて出てきよる。そんなんらちがあかん。生み出している、その大本をしばかないかん。あのザコくらいやったら、この世界の警察とか自衛隊とかでも、なんとかなるやろ? うちらはむやみに行くことあらへん>


「でも、俺達がその大本っちゅうか、親分を倒すってんなら、自衛隊の方が倒せるんじゃねえのか? 俺達、なんにも武器を持ってない生身の人間だぜ。いくら俺やそこのレスラーでもヤバいんじゃねえのか?」と勇樹は、両手を広げて言った。


<君らは、あの世界で、闘い、また、あの世界でしか体験できんことを肌に触れてきたはずや。たったそれだけでも、普通の人間さんとは違う>


「そんなもん、ぜんぜん感じねえぞ。それに、その鏡は大丈夫なのか? そいつに、怪物共が集まってきてんじゃねえだろうな?」


 ソーヤは手を止め、ため息をついた。


<うち、実際、この鏡から出てるパワーのことは、ようわからんねん。でも、この青い石の鏡を狙うんやったら、もうすでに狙われててもおかしない>


 コウヤがウンウンと頷く。


「確かにな。俺がキツネ野郎とやりあってたとき、この鏡にはまったく見向きもしなかった。こいつには特別な意味があるのかないのか……」


<これは、移動にしか使ってるのを見たことがないさかいなぁ。これに他、なにがあるのか知らんけど……>



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