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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 ソーヤはそう言って、鏡を眺めていた。


 横で一緒に鏡を見ている輝が、ふと気になった疑問をなげかけた。


「そういやぁ、大変なことになってるわりには、案外、静かだな。パニックにもなってないようだし……」


 輝の言う通り、窓の外からは、物音だけでなく、人の声さえも聴こえてこない。


 怪物が増え、警察や自衛隊なども動き出しているのだ。物音がしないのは不自然である。


「SNS見ても、空や海の色が変わったとか、巨大な生き物がいるといったことは書き込まれているけど……それ以外はなにも書かれてないし、なんか、途中で一斉に止まったような……」


 純化が携帯電話を見ながら言った。


<それも気になってんねん。怪物らは、もとからあまり鳴き声を出さん虫や動物ばかりが、巨大になったり、変化したりして街をうろついとる。出くわしたもんの悲鳴があってもおかしないんやけどなぁ>


「本当だ。今から30分前に誰かが『でっかいカタツムリなう』て書き込んでから、誰も書いてない」と莉子も自分の携帯電話を取り出し、登録しているSNSを確かめていた。


「あ、莉子さん、F☆MIX会員なんだ」


 純化が、莉子の携帯電話を覗きこんだ。


 F☆MIXとは、ブログで日記やつぶやき等の書き込んだり、趣味等のコミュニティに入り、友達を増やしたりする、コミュニケーションサイトである。


「えっ!? うん、そうだよ……あなたもそうなの?」


「やった!! なあなあ、よかったらマイFになってえな」


 マイFとは、サイト内で出来た友達のことを言う。


「うん、いいよ。待ってね、友達検索するから……純化の名前でアカウントしてるの?」


 莉子はサイトの中で検索をはじめた。


 すぐに「純化」の名前が出てきた。


「よし、あった!! さっそく友達申請するからね」と言って、純化のマイページに友達申請のメールを送った。



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