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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「はぁっ!? お前、正気か?」


 勇樹は輝の体を抱え上げながら言った。


 輝の体は鏡ごと持ち上がっている。


「あぁ、どうせ、向こうにいかなきゃならねえんだろ。だったら、いつ行っても同じ。見ろ、こうしてる間にも、俺の腕が鏡に喰われてるぜ」


 すでに、輝の体の約半分が鏡の中に入り、輝の腕を掴んでいたコウヤの手首までもが入りこんでいた。


 すると鏡の中から『大丈夫、なんか、ビルの屋上みたいな場所だ』と輝の声。


 それにコウヤが応えた。


「わかった……俺は行くぞ!! おい、どうする佐田? お前の返事……うあっ!!」


 輝の全身が吸い込まれる前に、なぜかコウヤが先に吸い込まれた。


「待てっ!! ハク○ョン大魔王が魔法の壺に戻るみたいに入りやがって……くそっ!!」


 輝を抱えていた勇樹の腕も、鏡に吸い込まれていく。


「チッ……もういい、行くか!! みんな、一人ずつ体の一部を掴んで、数珠繋ぎで入ってこい!!」


 その声に莉子が応じた。


「はいよ!!」


 莉子の腕は、しっかりと勇樹の股間をつかんでいた。


「よしっ!! そうやってみんな一人ずつ……て、どこ掴んでんだっ!!」


 勇樹のノリツッコミは、いまひとつだった。


「あんた、ツッコミ下手だねぇ。キュウの方がまだ面白いよ」


「この状態で、チョケれるかっ!! てか、ふざけてないで早くしろよっ!! 球也ぁっ!! お前の悪影響酷すぎるぞ」


「はいはい、足をもつから、それ以上言わない」 


 莉子は勇樹の足にしがみついた。


 球也は言った。


「えっ? いまの、僕が悪いんすか?」



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