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修練の鏡と精霊の大地

第1章 黄昏時に出会して……

「あんなぁ、試合も近いんやし、お前、気合い入れてやらんと、最後にしてレギュラー外されんで!! あんなエラーしただけでいつまで腑抜けになっとんや!? 誰かてそんなんあるって」


 球也は金吉の目をチラっと見ただけで、何も言わず、小刻みなため息を繰り返していた。


 金吉は、球也に期待をかけていた。


 打てる、守れる、走れる、投げれる、全てを器用にこなせるのが球也だったからだ。


 だが、プレッシャーがかかると、おかしな事をやりだすのは、あの試合で初めて知ったことだが……。


「球也……監督はもう、あの試合の事は何も言うてへんで。後は、お前の心だけや」


「……もうええわ」


「球也……」


「もうちょっと時間がほしい。ほっといてくれ」


 そう言うと、球也は金吉から離れ、一人トボトボと歩いて行った。


 金吉はその球也の後ろ姿をジッと見詰めていた。


「球也ぁっ!! 明日の部活で待ってるからな!!」


 そう叫ぶ金吉の目には、球也の背中が小さく映っていた。


 時は夕暮れ。


 心も沈む黄昏刻。



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