テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第21章 そして……

 球也は嬉しかった。でも、1つだけなにかが引っ掛かっていた。


「奈美ちゃん、どうしてんだろ?」


 プーロンとの戦いにはいなかった。おじいさんの淀屋橋と、怪物退治をしていたのだろうか?




 やがて、夏を迎えた。球也が通う高校の野球部は、夏の高校野球大阪地方大会の決勝まで上がっていた。


 この試合に勝てば、あの聖地、甲子園が待っている。


 相手は、勝てば甲子園初出場がかかる学校。球也の学校も勝てば、初出場だ。


 春には、球也のエラーと暴投により負けてしまった。


 もう、あんな苦い思いはしない。


 試合は延長11回裏。2対2で進んだものの、11回表に相手側が1点を取って、3対2となった。


 3ボール2ストライク2アウト。絶体絶命の中にいるバッターは球也だった。


『なぜ、代打を出さないんや?』と球也は思った。


 ただ、取った2点のうち、1点は球也のヒットによるものだった。そのため、球也に期待がかかる。


 ランナーは二塁にいる。そのランナーは、キャプテンの金吉だ。


「球也っ!! 頼む! 俺を塁に進ませてくれ!!」と声をかける。


「無責任なこと言うな……盗塁しろよ」と小声で返す。


 大きな一発が出れば逆転サヨナラ勝ち。


 だが、1球をしくじれば負け、うまくいけばフォアボールで、塁に出れる。


 1点でも取れば、また延長でねばれる。


「胃が痛いし、ウ○コが出そうやわ……」


 腹にプレッシャーを感じてるようだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ