Dioic
第4章 あか
変なやつ。
デジャブを見る前はこいつのことが嫌いで嫌いで仕方なくて、多分こいつもぼくが嫌いだった。
でも、今は少しだけ、こいつのことが何だか気に障らなくなっていた。
ぼくなのにぼくじゃなくて。
純だけど純であり純でない。
挙げ句の果てには違う名前が欲しいとまで要求してきた。
こいつは本当にわがままだ。
女ってみんなこうなのか。
少し当てつけしてやりたくて、名前をつけてやることにした。
嫌がりそうな、ぼくに対比しているような名前。
ケータイで 純 対義語 と検索する。
出てきたのは 不純 。
不純、か。名前らしくないしこれはあからさますぎる。何かもっと当てつけらしい名前はないか。
不純 類語 と検索。
たくさんでてきた。
雑 汚い 不毛 煩悩 不潔 ・・・
違うな、うーん・・・
そしたら、なぜか、赤、真っ赤、と下の方にあった。
スクロールを止めて、赤を見る。
赤、あか、か。
彼女は一応女だ。
ぼくと同じ生理の不快感を味わっている。
さっきだって元はと言えば生理のからなる情緒不安定からきたものだ。
よし、
あいつは赤だ。
でも赤というとなんだか色味感が強すぎる。
あかだからせき、と呼ぼうか。
女なのに可愛らしくない名前にしよう。
お前は血の赤だ。だからせきだ、と。
次に会う時に名前を考えてやったぞと言ってやりたい。
怒るだろうか、呆れるだろうか、無視するだろうか。
あれ、ぼくも面倒だし変な生き物になっている気がする。
まあそんなことはいい。
あいつ・・・せきに、名前を教えるのが楽しみだ。
くくく。