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Dioic

第1章 異形

心は男でありたいのに、本能は女であることを望んでいる。

そう、最初から分かっていた。
自分がどんなに男になりたくとも、普通の男にはなれない。

なぜなら、好きになった人は男だから。

純はそんな己を憎み、嫌う。
気持ち悪い。僕は気持ち悪い。
嫌われるに決まってるだろう。

良平は、僕のこと、大事な兄弟だと思ってくれてるのに。
なんで僕はこんなに、汚れているんだろう。

最初は、高校に上がった時。
中学と違いクラスが学力で分けられるので血が繋がっていても純と良平は同じクラスになった。
出席番号も純の次が良平。

中学のときは家でしか会わず、あまり良平のことをよく見なかった。
だが、同じクラスになったことによって距離は縮まり、二人は本当の兄弟のように親しくなった。そこまでは良かった。
良平は性格がいい。
頭もよければ運動もできる。
彫りの深い顔立ちもきりっとした眉毛もシャープな顎のラインも魅力的だ。
女子にも人気があり、同性からも好かれ、純はいつも尊敬していた。

何より良平は、自分が普通の体をしていないのを知っている。

なのに、普通に接してくれる。
両生器具種だとは両親も伝えてないようだが、純は体が弱いんだから俺にいつでも頼ってと優しくしてくれる。

そんな良平の側にいるうちに、気づいてしまった。

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