テキストサイズ

馬と鹿の咄

第10章 やまさん、トイレに入る

 まさかと思ったが、濃いメタンガスが発生していたんじゃないかと、推測。


 あの時、あわてて出てきた、やまさんの顔が忘れられん。


 本人の証言「フォッて、音とともに、青から赤に変わった。顔全体に熱がきた」とのこと。


 悲鳴を上げず、出てきた時に小声で「燃えた……燃えた……」を連発していた。


 換気扇はついてたんだけど、小さくて弱いんだよね。


 やまさんがクソして出たら、次に入る者は息を止めるから。


 オーナーの奥さんから、「あんた、なに食べたら、あんな異臭を残せるの? ここでせんといて!!」と言われ、腹が立ったやまさんは、トイレの扉を全開にした。


 我々はパニックになるから、裏口を開放した。


 いや、大袈裟じゃないんだよ。かなり、凄いんだ。


 なんせ、その時、裏通りのお宅で飼われている、普段はおとなしい犬が、異常なくらい吠え出したからね。


 よっぽどだったんだろうな。


 恐るべし、やまさん。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ